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たまごは1日何個まで食べていい? コレステロールの関係とその栄養についてわかりやすく解説

「たまごは1日1個まで」と聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。この記事では、最新のデータをもとに、たまごの栄養価や、1日に何個まで食べていいのかを詳しく解説。たまごの上手な食べ方も紹介します。
スーパーフードのたまごのことを知って、毎日もっと自由に取り入れてみませんか?

<目次>

1.「コレステロール対策に、たまごは1日1個まで」って本当?
 1-1.「たまごは1日1個まで」は勘違いから生まれた
 1-2.たまごの摂取量と血中コレステロール値との因果関係はない
 1-3.1日何個まで食べていいの? 食べ過ぎの目安は?

2.たまごとコレステロールの関係を正しく知ろう
 2-1.そもそも、コレステロールとは?
 2-2.たまごには血中コレステロールを下げる成分が含まれている

3.多彩な栄養素が詰まっている!たまごの栄養とおすすめの食べ方
 3-1.日本人に不足しがちな栄養素が豊富
 3-2.良質なたんぱく質
 3-3.ビタミン類
 3-4.ミネラル類(カルシウム・鉄・亜鉛)
 3-5.おすすめの食べ方~足りていない栄養素を献立に取り入れよう

4.たまごの価値を正しく知って毎日の食卓に.

1.「コレステロール対策に、たまごは1日1個まで」って本当?

たまご

朝食から夕食まで、さまざまな料理に手軽に使えるたまご。しかし、コレステロールを気にして、「たまごは1日1個まで」と制限している人も多いでしょう。
でも実はそれ、間違いなのです。

1-1.「たまごは1日1個まで」は勘違いから生まれた

「たまごは1日1個まで」と言われるようになったのは、
1913年にロシアのアニスコフという医学者らが発表した実験がきっかけ。この実験は、栄養価の高いたまごをウサギに与えることで、コレステロールの人体への影響を調べるというものでした。結果、ウサギの血中コレステロールが上昇したので、「たまご=コレステロール」というイメージが定着しましたが、実はこれは大きな勘違い。
そもそも、草食動物であるウサギと、日常的に動物性食品を摂取する人間では、コレステロールに対する体の仕組みが違うので、単純に置き換えて考えることはできないからです。

1-2.たまごの摂取量と血中コレステロール値との因果関係はない

日本では人を対象にしたコレステロールの研究は、1975年から始まりました。1981年の研究は健康な成人に、「1日5~10個のたまごを5日連続で食べさせる」というもの。
この実験は、健康な成人に、「1日5~10個のたまごを5日連続で食べさせる」というもの。毎日10個のたまごを食べ続けた人でも、血中コレステロール値は変化しないことがわかりました。
その後も、「1日3個のたまごを2週間食べ続けても、血中コレステロール値に影響しなかった」という研究結果も発表されるなど、健康な人なら1日2~3個のたまごを食べても、血中コレステロールへの影響はほとんどなく、むしろ良質なタンパク質、ビタミン類の供給源として、積極的に摂取する価値のほうが大きいと考えられるようになったのです。

1-3.1日何個まで食べていいの? 食べ過ぎの目安は

たまご摂取量と血中コレステロールの因果関係を否定する、多くの研究結果を踏まえ、2015年、アメリカではコレステロールの摂取基準が撤廃。日本でも、厚生労働省による『「日本人の食事摂取基準」2015年版』から、コレステロール摂取の上限値は設けないことになりました。
つまり、健康な人は、コレステロール対策のために、たまごの個数を制限する必要はなく、バランスよく取り入れることのほうが大切ということです。

※ただし、脂質異常症の人は、重症化予防の観点から、コレステロール摂取は1日200㎎未満に留めることが望ましいとされています。

2.たまごとコレステロールの関係を正しく知ろう

コレステロール値の画像

たまごに含まれるコレステロール量が比較的多いことは確かです。しかし、食品に含まれるコレステロールと、血中コレステロール値とは、別の話なのです。

2-1.そもそも、コレステロールとは?

コレステロールはすべて「体に悪いもの」というイメージを持っていませんか?

コレステロールは、細胞やホルモンを強化したり、免疫力をサポートしたりと、体内で重要な働きもしているのです。
その70~80%は体内(肝臓)で作られており、残りの20~30%を食品から吸収しています摂取するコレステロールは20~30%に過ぎません。
しかも、人間の肝臓には、食品から取り入れたコレステロール量に応じて、作る量を調節するという、素晴らしい仕組みがあり、食品のコレステロールが血中コレステロール値に直接影響することはありません。
このことからも、食品から摂取するコレステロール量に過敏にならなくて良いことがとわかりますね。

コレステロールの合成・吸収のバランス

2-2.たまごには血中コレステロールを下げる成分が含まれている

血中コレステロールを増やす原因のひとつに、ミリスチン酸という脂肪酸があります。
体内体中での役目を終えたコレステロールが、肝臓に戻っていくのを邪魔し、血中の悪玉コレステロール値を上げてしまうのです。
たまごには、このミリスチン酸がほとんど含まれていません。それどころか、悪玉コレステロールを下げるレシチン、シスチン、オレイン酸が含まれているのです。

3.多彩な栄養素が詰まっている!たまごの栄養とおすすめの食べ方

たまごの栄養とおすすめの食べ方の画像

たまご は、新しい生命を誕生させるために必要な栄養素が すべて詰まっている ことから、「命のカプセル」と呼ばれています。そしてこれは、子どもの成長や中高年の健康維持など、私たちにも欠かすことができない栄養素です。

3-1.日本人に不足しがちな栄養素が豊富

たまごがスーパーフードと言える理由は、小さな1 の中に、たんぱく質や脂質、ビタミン各種、ミネラル類など、多彩な栄養素が含まれているから。
そしてこの多くは、厚生労働省による「国民健康・栄養調査」で明らかになった、日本人に不足している栄養素でもあるのです。

たまごに含まれる多彩な栄養素の図

3-2.良質なたんぱく質

丈夫な体を作るのに欠かせないたんぱく質。特に近年は、筋力アップや免疫力強化の観点から、良質なたんぱく質の重要性が注目されていますね。
良質なたんぱく質とは、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸がバランスよく含まれていることを指します。
たまごは、人体にとって理想的な必須アミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」が、最高点の100、かつ体内での利用効率94%という、理想的なたんぱく源なのです。

3-3.ビタミン類

ビタミンは、全部で13種類存在し、3大栄養素(たんぱく質、糖質、脂質)の代謝をサポートする重要な存在です。たまごからは、家族の健康にうれしい、以下のビタミン群が摂取できます。

ビタミンA:粘膜を強化→目の健康維持、美肌、免疫力
ビタミンB群:エネルギー代謝を助ける→疲労回復、皮膚・脳・神経の発育促進
ビタミンD:カルシウムの吸収促進→骨の強化
ビタミンE:血管の健康維持、血流促進
葉酸:DNAの合成→胎児の発育促進や先天性異常予防

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

3-4.ミネラル類(カルシウム・鉄・亜鉛)

ミネラルも、体内機能を調節したり、他の栄養素の働きをサポートする大切な栄養素ですが、体内では作ることができず、食品から摂取しなければなりません。
たまごには、特に日本人の摂取不足が注目されている、以下のミネラル類も含まれています。

・カルシウム:丈夫な骨と歯を作る → 骨粗しょう症予防
・鉄:体内の酸素の運搬を助ける → 鉄欠乏性貧血対策
・亜鉛:細胞や粘膜を強化 → 免疫機能を維持

鉄・カルシウムは、子どもの摂取不足も懸念されています。体や脳の成長に欠かせない栄養素なので、積極的に取り入れたいですね。

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

3-5.おすすめの食べ方~足りていない栄養素を献立に取り入れよう

たった1食材で多種多様な栄養素を摂取できるたまごですが、ビタミンCと食物繊維は含まれていないので、それらを多く含む食材を一緒に献立に取り入れるのがおすすめ。
栄養バランスがさらにアップし、健康的な食事が実現できますよ。

(ビタミンCを多く含む食品例)
パプリカ、キウイフルーツ、芽キャベツ、レモン、豚肉、じゃがいも、さつまいも

(食物繊維を多く含む食品例)
こんにゃく、きくらげ、干ししいたけ、ひじき、おから、切り干し大根

参照:文部科学省「食品成分データベース」調べ

4.たまごの価値を正しく知って毎日の食卓に

健康的な家族の画像

コレステロールとの関係に誤解が生まれたことから、長い間、要注意食材だと思い込まれてきた、たまご。でも実は、健康な人であれば、個数に神経質になる必要はなく、多くの栄養的価値があることがわかりましたね。
他の食材とバランスよく献立に取り入れることで、スーパーフード・たまごのパワーを、家族の健康に役立てましょう。

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